アインシュタインからの祝福

高校生が「洗濯機の中のプラズマ」を研究、「アインシュタインOWL 2016」で優勝

笑顔の優勝者 - デトモルトの OWL 大学(応用化学大学)の前に佇むピラヴィン・プレマルバン君。ここで2016年6月14日、「アインシュタインOWL 2016」の表彰式が行われた。
写真:© Birgit Sanders

ピラヴィンという名前だけで、すでに何かを予感させるものがあります。これは古代サンスクリット語に由来する言葉で、「知恵ある者、巧みな者、優れた者」を意味し、ヒンディ語ではさらに「専門を極めた者」という意味があるのです。スリランカ生まれの両親をもつピラヴィン・プレマルバン君は、まさに名前通りの活躍を見せてくれました。彼は現在19歳で、ヴェストファーレンにあるシュタインハーゲン高校の卒業試験に最優秀の成績で合格したばかりです。彼は「アインシュタインOWL 2016」という高校生コンクールで、チームメイトのルーカス・ケーニヒ君と共に技術・自然科学賞を受賞しました。

洗濯機の中のプラズマ

シュタインハーゲン高校の物理の授業では、洗濯機メーカーのミーレ社と共同で、洗濯機の製造というテーマについて、また向心力や遠心力といった基本的な物理的作用について生徒たちに分かりやすく教えていました。卒業試験の準備をしていたピラヴィン・プレマルバン君は、あることを思いつきました。ピラヴィン君は、プラズマに消毒効果があり、それどころか滅菌効果もあることを知っていました。そこで、プラズマで「洗濯」した洗濯物を、例えば病院の衛生に役立てることはできないだろうか、あるいはまた、プラズマを化学漂白剤のかわりに工業生産で利用することはできないだろうか、と考えたのです。ピラヴィン君の暮らす町にはプラズマトリートの本社があります。そこで、彼はさっそくプロジェクト仲間のルーカス・ケーニヒ君と一緒に、洗濯機の中のプラズマの洗浄効果についてプラズマトリート社で研究させてもらえないだろうか、と経営陣に問い合わせたのです。プラズマトリートのクリスティアン・ブスケ社長は、ただちにこのアイデアをサポートすることにしました。

研究に成功

これを受けて、洗濯を分析するテストが、週に少なくとも1回、シュタインハーゲンにあるプラズマトリートの研究開発実験室で行われました。水をプラズマで処理するには、電圧伝達を技術的に排除しなければなりません。プラズマトリート社が殺菌のために開発したCD-50ノズルという特殊なプラズマ発生器のおかげで、このようなアプローチが可能になりました。
ふたりの高校生は、ノズルを市販の洗濯機に組み込み、こうしてプラズマのパルス作動によって水を活性化することができました。このプロセスでは、反応種が水の中に閉じ込められて、水にエネルギーを与えます。これを効果的に利用して、強力な洗浄性能と漂白作用を生み出すことに成功したのです。

高校生たちの実験をサポートしたのは、プラズマトリート社の社員のサルマン・アサド博士(研究開発部門リーダー)、クリステン・プラッペルト(応用技術)、ダニアル・ハッセ(微生物学)でした。そのほか、wfkクリーニング・テクノロジー研究所(クレーフェルト)から、特に標準的汚染に関する情報を提供され、それが統一的なデータ収集に役立ちました。実験結果のクオリティを高める上で重要だったのは、常に同じ量の汚れを塗布すること、同じ作用時間を保証すること、そして統一的なマーキングポイントを定めることでした。標準的汚染として高校生たちが選んだのは、ココア、口紅、赤ワイン、それにケチャップでした。

2年にわたる研究活動を経て、すばらしい成果があがりました。高校生たちは、20℃、30℃、40℃の温度で、プラズマ活性化水と洗剤を組み合わせ、洗剤のみの場合より大きな洗浄効果を達成することがきたのです。プラズマ活性化水のみで洗濯した場合でも、すでに洗剤より優れた洗浄性能を発揮することができました。

ピラヴィン・プレマルバン君と、物理を教えるアンドレアス・フレルケス先生(前列右)、「アインシュタインOWL」授賞式で。賞を授与したのは、シュテファン・ヴォルフ氏(ペーター・グレーゼル財団(デトモルト))、マリアンネ・トーマン=シュタール・デトモルト県知事(ふたりとも2列目)、ブルクハルト・レーマー博士(オストフスヘンリッヒ家財団(ギューテルスロー)、ウーテ・コルボウ氏(ギュンター・ウント・リタ・ルドルフ財団(ミンデン))およびハンス=ウルリッヒ・ヘール博士(カルミナ財団(ヘルフォルト))(3列目)。
写真:© Birgit Sanders

「これだけの成果があがったわけですから、ぼくはこのプロジェクトを、学校の枠を超えて、「青少年科学コンテスト」で発表することにしたんです」とピラヴィン・プレマルバン君は語ります。このコンテストはドイツで最も有名な青少年向けの科学コンクールで、ドイツ連邦大統領が名誉総裁を務め、地域大会、州大会、全国大会を毎年開催しています。ふたりの高校生は、「洗濯機の中のプラズマ」により地域大会で優勝しただけでなく、さらに「青少年科学コンテスト」環境技術特別賞まで受賞しました。ノルトライン=ヴェストファーレン州の州大会でカテゴリー第3位になると、ピラヴィン・プレマルバン君は、さらに一歩進んで、プロジェクトを「アインシュタインOWL」に応募することにしました。「アインシュタインOWLでは、たくさんの応募の中からたった5組しか採用されないのですから、ぼくたちにとっては招待を受けただけで大成功でした!」プロジェクトは審査員をすっかり魅了しました。こうして、ふたりの高校生は、優勝したばかりでなく、大学への奨学金や、研究賞の賞金2000ユーロも手にしたのです。

展望

高校は卒業しましたが、ピラヴィン・プレマルバン君の科学の旅はまだまだ続きます。彼はちょうど、技術系の大学としてはドイツで最大のアーヘン工科大学から見学の招待を受けたばかりです。「ぼくはこの大学に志願しようと思います。電気工学の研究がしたいんです」と、新しく大学生になるピラヴィン君は語ります。「洗濯機の中のプラズマ」プロジェクトで、彼はさらに研究を重ねるつもりです。もしかしたら、大学の卒業論文も、彼はこのテーマで書くかもしれません。

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